八海山(カッパン倉1268m〜屏風沢滑降)
2017/02/26(ワシ、ハッシー、どくたーQ)


清滝
八海山の西面はどこも滑降対象になる雰囲気ではない険峻さだが、唯一大日岳とそこから派生する新開道からの斜面や沢は比較的穏やかそうだ。しかし今年はすでに気温が高い日が続いており下は完全デブリランドであろう。ともかく遠出できない今日は新雪も少なめ、気温もあまり上がらず雪崩のリスクも少なそうなのでこちら方面を偵察しておきたいということで出発。だが結果から言うと屏風沢は本当は滑ってはいない。滑っていないが核心部だった

今回は初めてのルート取りで時間が読めず、しかし昼前には滑降したい。標高400m屏風道登山口林道分岐から出発6:17

案の定硬いバーンに新雪がうっすら。ラッセルがない分早く歩けるがいまいち過ぎる天気だな。6:34屏風道登山口

新開道登山口へと林道どおり進む。ショートカットするよりたぶん早い

林道終点近くの沢から入る6:47

広い伐採地に出て

そこを抜けると登山道と合流し登りになる。この先急登しかないし今日の雪ではさっさとクトーをつけよう
 
7:40かなりの急登に。一番急な部分は200mほどの登りだが、ガチガチの上にシールの効かない新雪。深雪ラッセルよりも神経と体力を使う

しかも吹雪になりまったく展望なくなってきた7:50
 

ただ頑張っていれば傾斜は徐々に緩んでくる

8:25稜線に出た
 
 
阿寺山がやっと見える

この天気では目標ピークはそこ、6合目にあたるカッパン倉
 
ちなみに河童とは関係なく「狩場ノー」とのこと(藤島玄著越後の山旅)。カッパ頭のようだとバカにしてはいけない

カッパン倉は結構急登。8:44それを巻きにかかったところで見えてきた清滝と屏風沢

8:48カッパン倉1286m。ああ、全然見えなくなっちゃった。しんしんと降る雪にガス

しかも新雪がなかなかシール効かず急登では苦労した。直登できないとこの先登り切る自信もない。足元からはちょうどよい屏風沢へのシュートあり
 
ハイクアップ終了、滑降を決める。ここからフォールラインいけば清滝直下に出るはず。そこの偵察が今日一番の目的だ

底は硬く表面の新雪のみ流れる

吹き溜まりならまだマシだがモノトーンで雪面はあまりよく見えず判断しようがない
 
まあまあパウダーラン1230m
 

快適なところもあるがおおむね底付き。ここは北向きだが今までのパウダー期斜面とは一線を画す

ツリーラン1150m
 
底はそこそこあるが気にならない

少し開けた沢状1070m

1050m
 
1040m
 
ガリガリとパウダーを蹴散らしながら一気に高度を落とした。雪は別にして、滑降バーンとしては斜度も広さも快適だろう
 
いよいよ屏風沢見えてきたか
 
9:26清滝に近づいてみる950m
 
ガッチガチの急斜面。なかなかこの左俣にある方の滝は普段見ることができないかもだ
 
 
さてそこから屏風沢850mくらいまでがいよいよ急。しかも新雪ほとんどなしのガッチガチのガッタガタ。横滑りも許してもらえない
 
 
連続滑降は不可能、ともかく硬い。転んだら岩みたいなバーンを底まで落ちるだろう緊張の急下降。谷は必ずこういうところがあるが、雪が付いてるだけマシというもの
 
無事に屏風沢へ着地
 
すごいねえ、八海山
 
ようやく屏風沢へ。だが一面でかいデブリの川。両岸は深く削りとられ垂直の堰堤となって滑降などまったくできない
 
9:45右上の岩の隣を降りてきた。清滝直下にはここ以外の枝沢は急で狭く雪付きも悪くほとんど降りられそうにない
 
清滝が奥右手。左俣の滝はもう見えてない
 
屏風沢を渡って向こう岸が屏風道登山道四合目、ちょうど鎖場が始まるところだ
 
四合目へとデブリの川を渡るのに一苦労。とにかく硬くて滑る。平坦な部分がほとんどないからだ
 
9:54なんとか渡りきるが、そこから右岸に上がれない
 
なんとかしてくれよ
 
板を外し右岸にあがったハッシー
 
そこは昔ミソギ場だった清滝小屋があった所750m。流されたというが、そりゃそうだと頷ける雪崩集中地帯。休んだあと屏風道登山道へ10:13
 
生金沢をバックに。屏風道下部の稜線滑降も晴れて粗目なら非常に快適そうだが、今日はガチガチでモナカっぽい10:18
 
注意深く行かないといくつかデブリ沢を歩くことになる。意外と複雑な道で、屏風沢も下は流れが出ており忠実に登山道を辿った方が早い10:28
 
560m10:46
 
夏登っていても気がつかない広く平坦な灌木帯から杉林へと滑降し
 
屏風道登山口徒渉点へ10:56。四合目から想定外に時間をくった。初めての地でなくても、里山ほど下山滑降は難しい
 
あとは沢をスノーブリッジで渡って戻る。なかなかのアドベンチャーだった
 
 清滝より上部は展望があれば登っている最中から確認できるので、偵察したいのは滑って降りてきて滝を巻いたその後に屏風沢にどう着地するかだった。そこを確認できただけでもこんな日に行ってみた価値はある。ともかく一番難儀でこの山行中それしか印象に残ってないところはカッチカチの急登でも急斜面滑降でもなく、屏風沢すべてを覆いつくす氷塊のようなデブリ歩きだった。今シーズンは2月第2週でこの山域の厳冬パウダー期は終了したとみていいだろう
 清滝がいったいどれなのかと少し調べると、昔の登山地図には清滝は屏風道四合目清滝小屋のところにあり今回接近してみた普段よく見ている右俣の滝は大滝と明記されて、その沢の名称も大滝沢と言う。「越後の山旅」によれば大洪水により清滝は見る影もないとあり、現在は単なる水場のようである。つまりは今の地形図の清滝は2代目だったか!?